Loading...

未来を創る、スピード勝負。 中性子線育種技術

自然界の生物は宇宙から微量の放射線を浴びることでゆっくりと“進化(突然変異)”し、地球環境の変化に適応してきました。 農作物もまた、自然界での突然変異と品種間の交配によって長い年月をかけて環境に適合させるための“進化=改良”が重ねられてきました。
しかし、近年の気候変動で栽培環境は急速に悪化し、農作物の高温障害、病害虫被害、生育不良、腐敗、日焼け等、様々な被害が増大しています。収量や品質低下による経済的損失に留まらず、農家の減少、特産物の消滅、食の自給率低下、農業資材や原材料の高騰、物価の上昇など地球規模で食の安全保障を脅かしています。
農作物や微生物の品種改良ニーズは高まる一方ですが、品種改良とは原理上ゆっくりしたものであるため、急速な環境変化に対応しきれない現状があります。これらの課題を解決するためQFFは従来の半分以下の期間で新系統を創出できる中性子線育種技術を開発しました。

植物は最短1年1、微生物は最短 1 週間2 で新系統創出

中性子線育種は植物に自然に起きる“突然変異”を利用した品種改良技術であり、放射線の一種である中性子線を使います。ガンマ線や重イオン線など従来の放射線では花や野菜、穀物などの新系統を創り出すまでに3〜5年以上かかりますが、中性子線では約半分の1〜3年、品種により最短1年1です。突然変異率が1〜39%と抜群に高い中性子線は、確率論で必ず一定の効果が出るため開発期間を圧倒的に短縮できます。微生物の育種では従来の1/6程度の2ヶ月、条件により最短1週間2で新たな系統を創り出すことができます。 中性子線育種の技術解説記事(久保山勉教授著)を見る

元品種(小菊)

1年2で、 花の色や模様、
花弁の数や形、開花時期等の異なる
突然変異体を多数タイプ創出

突然変異種3

突然変異率は従来技術の15~300倍

中性子線育種に使用する中性子線は高LET線です。大きなエネルギーで生物のDNAの二重鎖を複数か所切断し、CTRL(未照射の試料)と比較してもほぼ変わらない生存率で突然変異を得やすい特長があります。イネ(日本晴)、シロイヌナズナの場合の表現型(フェノタイプ)の突然変異率は第二世代の実績値で3〜26%。これは現在主流のEMS(化学変異剤)、ガンマ線や重イオン線(放射線)による突然変異率の15〜300倍です。この抜群の“突然変異誘発力”と生存率により従来より格段にスピーディに新系統を創り出すことができ、急速な気候変動下においてガンマ線や重イオン線に代わる新技術として期待されています。さらに、中性子線は従来の放射線とは引き起こすDNA損傷の種類4が異なり、働く修復系も異なることから、これまで獲得できなかった未知の変異体の取得が期待できます。 中性子線育種についてQFFの論文を見る 品種改良技術の比較表を見る

中性子線育種の突然変異率

※さらに高い線量照射で変異率を向上できます。

  • 小菊

    成長点への照射による実績値

    139%2

  • イネ(日本晴)、
    シロイヌナズナ

    第二世代の実績値

    326%

  • 中性子線のメカニズム

  • ガンマ線・X線のメカニズム

  • 重イオン線のメカニズム

  • QFFの中性子線照射実積

    中性子線は汎用性が高く、殆どの植物と微生物に照射可能です。下記以外のものでもお気軽にお問い合わせください。

    植物 (種子、成長点、穂木、苗木、OC細胞、カルスなどへの照射)

    朝顔 / 菊 / 小菊 / ストック / トルコギキョウ / カーネーション / バラ / イネ(日本晴、ササニシキ) / 大豆 / 小豆 / シロイヌナズナ / マイクロトム / トマト / ごぼう / 梨 / 人参 / キャベツ / ダイコン / ブロッコリー / レタス / サツマイモ / イチゴ / メロン / カモミール / 玉ねぎ / ネギ / 胞子 / 大葉 / ほうれん草 / セロリ / 小松菜 など

    微生物 (培養物への照射)

    微細藻類 / 酵母 / 大腸菌 / 乳酸菌 など  ※原核生物、真核生物、古細菌などへの照射も可能です。

    中性子線育種(スピーディ育種)による品種改良の例を見る
  • 微生物育種に最適

    電荷を持たない中性子線は透過性が高く、核反応することが特長です。溶液中の微生物や培養物中の生物にも照射によるエネルギーを一様に及ぼすことができ、生物の致死率に影響しない範囲での変異導入も可能です。効率よく変異体生成を行えることから、ターゲットとなる変異体を獲得する時間も大幅に短縮します。微生物は従来の1/6程度の2ヶ月、条件により最短1週間2で新系統を創り出すことができます。 また、多様で高頻度のランダム変異5(SNPs、欠損、挿入、アレンジメントなど)により有用形質を得やすいことも利点です。 さらに詳しく

    QFFでは微細藻類、乳酸菌、酵母、大腸菌、枯草菌類、糸状菌類など、様々な生物資源について変異導入の実績があります。原核生物、真核生物、古細菌などへの照射も可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

  • 世界初の社会実装

    中性子線育種は海外に学術的な研究実績としてはありますが、実現可能な高度科学施設が日本を含め世界に数か所しかないため非常に利用ハードルが高く、商用利用の実績がありませんでした。そこでQFFは国内外の科学者を中心にアライアンスネットワークを組み、世界で初めて中性子線育種技術を実用化し、スピーディ育種サービスとして社会実装しました。 QFFアライアンスネットワークを見る

  • 特許技術

    中性子線育種技術は特許権を取得しているため、QFFのみがご提供できる技術となります。
    QFFは自社開発した「中性子線育種技術と中性子線照射装置」および これにより「創出された変異体」について、国内特許および米国特許を取得しております。ヨーロッパでの欧州特許(PCT)も出願中です。

  • 安全性・汎用性

    中性子線育種は、ガンマ線や重イオン線と同じ放射線育種にあたります。他の放射線よりも透過性の高い中性子線は照射対象となる試料の汎用性が高く、殆どの植物に利用できるだけでなく、微生物・動物細胞の育種にも最適であることが特長です。放射線育種は、植物の進化の過程で自然と起きる突然変異を利用するため、安全なものとして1920年代から世界中で広く利用されており、品種登録された農産物は3332種類以上6。中性子線育種の実績としてはアメリカで1960年代に開発された、赤くて甘いグレープフルーツ「スタールビー」が日本でもよく売られています。

私たちの 生命 を作る‘食’のほぼ100%が、実は品種改良されたもの

オープンイノベーション

QFFは国内外の科学者および大学、研究機関、民間企業、科学施設等で結成されたアライアンスネットワークを軸に、オープンイノベーションの形で植物、農作物、微生物等の中性子線を用いた共同研究を積極的に行っています。
研究開発体制

  1. ※1 花や野菜、穀物などの植物の場合、 最短1年で新系統を創り出せます。従来技術では3〜5年以上かかります。(品種登録に至るまでには収量性や市場性などさらに調査が必要です)
  2. ※2 ラボレベル
  3. ※3 小菊の成長点への照射による実績値です。
  4. ※4 DNA損傷の種類について、詳しくはUC Davisの論文をご覧ください。
  5. ※5 ランダム変異とは、ゲノム編集のようにDNA塩基配列の特定の遺伝子を狙ってノックアウトするのではなく、ランダムにノックアウトし誘発された突然変異のこと。 中性子線のランダム変異誘発能力は、X線、γ線、UV等と比較して非常に高いです。
  6. ※6 品種登録された農産物について、詳しくはSpringer Natureの論文をご覧ください。

– JAPAN’S GAME CHANGING
QUANTUM TECHNOLOGY –

新たな
農業ビジネスモデルの
創生へ

お電話でのお問い合わせ

050-7103-6063
(平⽇09:00〜17:00)